
前回の企画の続きですが、今回は最近話題のニデック株式会社、言わずと知れたモーター世界大手の企業です。ここが粉飾決算で今、大きな批判を浴びていますが、ニュースで見た報告書だと「創業者(永守氏)の意向を重視し…」と何かふんわりしていましたし、結局なにで粉飾をしたのか、わからないことが多かったので、兆候が分かればすべて腑に落ちるんじゃないかと思い、この記事を書くにあたりました。
前回の記事↓
vuv-kigyobunseki.hatenadiary.jp
このブログは「企業分析」ですので、決算書を読み解いて不自然な点を探っていこうと思います。ただ不正会計分野は初めてですので、ClaudeというAIと共同で作りました。
※このブログ記事草案をまとめたのがニデックの第三者委員会中間報告前でしたので、少し情報が古いかもしれませんが、基本的に大きな変わりはないと思います。
4. 兆候③——資産評価減の意図的な「先送り」(調査の核心)
この第三者委員会調査の本丸が「資産の価値が下がったのにも関わらず、それに必要な会計処理を行わなかった」というものです。会計用語だと「減損の先送り」と言われるらしく、簡単に言うと
「蛍光灯を製造する機械があるが、そろそろ製造等禁止になるので、当社でもその役目を終えて廃棄した」
この仕訳は簡単に言うと

こんな感じで、損失が計上されるんですがその損を計上したくがないためにこの処理をしなかった、ということです。

具体的にはEVモーターの収益性が実態として悪化していたにもかかわらず、固定資産や無形資産の減損をタイミングよく回避して、利益を実態より良く見せていたとのこと。因みに、この処理をしなかったことで600億~700億円の利益を水増ししていたんです。普通はこの処理をすることで利益が減る、そうすると法人税の支払額が減るので拒む理由は少ないですけどね。それだけ利益を大きく見せて、株価を上げたかったんでしょう。
5. 兆候④——車載グループの急激な損益悪化
ニデックにはいろいろな部門があるんですけど、その中でも自動車系の部門の損益推移が激しく、どれだけ不正を続けてきたかが良くわかるんです。

AIが作成した資料に間違いがあったので、修正しましたのでその跡がありますが気にせずお願いします。
過去最高益の直後に急転直下の大赤字、備考欄にもありますが粉飾で出来た負の遺産の処理に877億円、この処理を差し引いたら約50億円の黒字です。つまり単純に考えると通常運転の経営をしていれば、黒字経営で、中大規模な上場企業くらいの世界シェア首位の良いポジションに座っていたはず。それが短期的な欲望で一気に崩れるとは、非常に持った得ないと思います。永守さんは優秀な経営者のはずなんですがね…
6. 兆候⑤——ガバナンスが機能していなかった証拠
不正会計の「兆候」として一番警戒すべきものは、ガバナンス上の構造的な問題らしいです。実は財務数値の異常よりも前に、組織の意思決定プロセスや外部チェック機能に問題が生じていることが多いんです。一見すると意外に思えるかもしれませんが、よくよく考えれば経営陣が不正を指示したり、経営陣が無理な業績目標を打ち出すことがきっかけですしね。
①監査法人との関係
監査法人とは上場企業が不正していないか監視する法人で、公認会計士が多数所属しているんですが、そのプロフェッショナル集団がニデックの業績を報告する有価証券報告書に「意見不表明」という監査報告書を添付したんです。意見不表明というのは、監査法人が「あ、この企業やばいね。信用できません。」と言っていると同じ意味です。これは上場企業としてはかなり珍しいものです。
②問題の連鎖的拡大
実は、最初はイタリア子会社の関税未納問題から始まったんです。その後、中国、スイス、そしてグループ全体の大問題へと芋ずる式に拡大していたんです。問題が調査するたびに増えるのは、永守氏の過度な業績達成圧力が全世界に波及していることを示しているんじゃないかと考えます。
因みに東証もこの点を特別注意銘柄の指定理由として挙げています。
おわりに
この記事で説明したように、不正会計の多くは突然、起きるわけではないことが良く理解できました。営業利益率の不自然な乱高下、利益とキャッシュフローの長年の乖離、こんな感じの粉飾の負の遺産は、企業HPに載っている決算短信からでもよくわかります(例えば建設業は業態的に乖離してしまう場合もありますが)。まぁ、この記事の場合は発覚してから調べた後付けですけどね。
しかし、約2500億円もの粉飾ですよ。検索エンジンで過去の最大額の粉飾事件を調べましたら、東芝の1400億円です。これは歴史に残ってもおかしくはないと感じます。
出典
決算短信・決算説明資料 | ニデック株式会社
26年1月号 【会社四季報】【雑誌】