中1(小6)投資家の企業分析記

投資の芽を育てる企業分析記

【老舗企業分析】朝日印刷株式会社 ~創業150年超老舗企業の生き残り戦略~

この企業が提供している製品は、この世に「医薬品・化粧品」が存在し続ける限り、そのパッケージために必要とされるものです。

この記事では、短期的な株価変動や短期的な投資指標そのものを重点とするのではなく、なぜこの企業やその製品が長期的に選ばれ続けているのか
そしてその需要をどのように維持・拡大しているのか

その上でどんな課題点あるのか、を中心に整理します。

さらに、「老舗企業分析」ということで、なぜそこまで存続しているのか。そのビジネスの鉄則は何か、これについても考察をしていきます。

なお、財務指標や業界平均との比較については、
その事業の強さや持続性を確認するための補足材料として用います。

※これは特定の投資商品購入を推奨するものではありません。ご購入等に関するご判断等は自己責任でお願いを致します。

 

・基本情報(事業内容等)

小澤活版所を原型とする企業です。活版と聞いて、「活版が主流の時から始まってるの?」と思った方もいると思います。なんと朝日印刷(の原型)、1872年創業で執筆時ですと154年以上続いている企業なんです。

そんな長く活版をやっているわけではなく、終戦の少し後に医薬品包装・化粧品包装に切り替わりました。今のシェア率は、医薬品向けが38.1%化粧品向けが約27.5%で、国内首位です。

なぜ80年近くでここまでのシェアを築き、維持できているのか」これを整理していきます。

医薬品向けの強み ~品質管理とブランド力~

朝日印刷は製造するにあたっての規則のようなものに沿って、製品のチェック設備等の管理社員教育を重点的に行っています。それによってほぼ確実に誤表記等無く製造することができるんです。

これだけ見ると当たり前と、ほとんどの方が感じると思いますが、いくらパッケージ印刷でも医薬品の一部ではあります。ですから、それに合格するためにはかなりの信頼性が必要になるんです。そこで創業150年超の朝日印刷の実績が光るというわけです。

私は今、朝日印刷を紹介していますがこれをトランプ米大統領が「朝日印刷は素晴らしい」と仮に言ったとしたら株価は爆上がりするでしょう。そこら辺の投資家を名乗る変な人と、不動産で成功を収めた男が言うのじゃ違うのと、全く同じことです。

化粧品向けの強み ~時代に取り残されるな!~

私は化粧品をよく買う層ではないので、良くわかりませんが化粧品を買う際、顧客はパッケージで大体判断するらしいんです。そこで、最新の設備オリジナルの色を管理する技術で、高度なデザイン等が求められる製品を、効率的安定的に生産できる体制をが朝日印刷にはあるとのことです。

具体的にはオーダーメイドで機械を発注して、「これは朝日印刷しかできない」という構造を作ることを継続し続けることで、時代に埋もれないんです。

この二つ、現代人からの感覚にはなりますが、下を買いたいですよね。

その他にも、社員に国家資格取得を呼び掛けており、それによって高品質な製品が製造しやすくなるんです。

 

総じて、システムが良く整っているので、バフェット氏の格言「優秀な経営者がいるダメな企業より、無能な経営者がいる優良企業が好ましい」に当てはまるのではないかと考えました。

 

今後の需要

ただの印刷企業だったら、これからのデジタル化で需要が大きく後退する可能性が高いです。ですが、朝日印刷は実物のパッケージを印刷しているので、よほどのことがない限り、需要は最低でも維持されると思います。

また、これからの高齢化で医薬品の需要が爆発的に増えてもおかしくないように思え、それによって朝日印刷もさらに成長する可能性も見えています。また高市政権下で発足した日本成長戦略本部の戦略17分野に「創薬・先端医療」があるので、成長産業化した場合は、海外への展開もできるのではないかと考えます。

 

医療関係ならでは?の課題

有価証券報告書というものを見ると、費目別の金額がわかるんです。そこでトッパン印刷と朝日印刷の内訳を比べてみたら、興味深い事が分かりました。

それが「荷造運賃」という勘定科目です。販管費のうち、何%占めているかを計算してみたら、トッパンが7.8%程度、朝日印刷が27%程度でした。もちろん、トッパンの方が人をたくさん雇っているので、運賃が相対的に低くなる可能性もあります。

医療関係だからあまり大量に運ぶと「衛生的にどうなのか」という懸念があるのかもしれませんが、包装なんですから一気に運んでも問題ないと思うので、そこの改善も必要なのではないかとも感じました。

 

まとめ

朝日印刷株式会社は創業150年超の老舗企業で、長年のブランド力技術革新を推進し続けることで、生き残り続けて盤石の地位を築いています。この分析から分かったことは

信頼性を高める

常に技術革新をする

仕組みを作る

自分しか操縦できないコックピットを作らない

この4点が重要なのではないかと考えました。

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会社四季報 2026年2集 春号 2026年 4月号 [雑誌]

いつも愛読させて頂いておりますので、ご紹介させてください。
私は、会社四季報で財務諸表のポイントをかなり満たしている
企業に目星をつけて、分析を行っています。
気軽にパラパラとめくるだけで、1社は候補が見つかります

そのうえで、正しく投資をすればもとはとれます(私自身、会社四季報を参考にさせて頂いて、個別株で約15%で運用させていただいておりますので)

株式会社ストライク② ~財務から見えた“盤石さ”と“成長鈍化の兆し”~

この企業が提供しているサービスは、この世に「質の高いM&Aの需要」が発生し続ける限り、それに応えるために必要とされるものです。

この記事では、短期的な株価変動や短期的な投資指標そのものを重点とするのではなく、なぜこの企業やその製品が長期的に選ばれ続けているのか
そしてその需要をどのように維持・拡大しているのか

その上でどんな課題点あるのか、を中心に整理します。

なお、財務指標や業界平均との比較については、
その事業の強さや持続性を確認するための補足材料として用います。

※これは特定の投資商品購入を推奨するものではありません。ご購入等に関するご判断等は自己責任でお願いを致します。

※CVP分析は売上原価を変動費、販売費及び一般管理費を固定費とみなします。

 

①の記事↓

vuv-kigyobunseki.hatenadiary.jp

 

財政健全性

自己資本比率は同業他社平均が80%付近と業界全体で見ても高いですが、ストライクは85%前後と上回っており、有利子負債も0で無借金経営をしています。

当座比率という短期支払能力を表す指標約630%で、目安の100%を大きく上回っており、固定比率という長期的な財務安定性を表す指標約20%と、優良基準の100%以下を達成しています。理由としては現金同等物が非常に多く無借金経営をしていています。また利益の蓄積が大きく、設備を持たないビジネスモデルなので、この数値が出たのかなと思います。

お金の使い道

ここまでキャッシュが溜まっているのは成長投資をしたくない企業なのかと思いました。そこでキャッシュフロー計算書というお金の使い道を明らかにする財務諸表の一部を見ていこうと思います。

左の数字が前期、右の数字が当期の数値です。

なんだかお堅い表ですが、小さい項目は「有形固定資産取得による支出」「配当金の支払額」の2つだけを、大きい項目は「投資活動によるCF」「財務活動によるCF」の白いところを見てください。

有形固定資産取得による支出と投資CF

これは設備投資をどれくらいしたかが分かります。ストライクの場合はパソコンやコピー機、営業車などを購入して効率化に取り組んでいるかが分かります。

なんと3分の1ほどまで縮小しています。ここ3年間のB/Sの有形固定資産を見ましたら建物の取得や備品(パソコンや机など)の取得1主要項目あたり約1億円ずつ縮小されていました。大きい項目の投資活動によるCFも約3分の1の縮小です。これ以上の事業拡大が厳しいという事でしょうか

配当金の支払額と財務CF

これは文字通り株主にどれだけ配当金を支払ったかを示すものです。

これに関しては、なんと約2倍に膨れ上がっています財務活動によるCFも約2倍です。この二つで判断するとストライクの経営陣は「もう事業拡大をすることは厳しくなってきた。よし、じゃあ株主へ還元しよう」という方向にかじを切っているんじゃないかという事が分かります。

株主還元政策とCVP分析

ストライクのHPによると「株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題として位置づけ、(中略)配当性向は当期純利益の概ね35%を目安とする方針であります。」としています。配当利回りは4%台で高配当と言える水準です。

じゃあなぜ、配当金の支払額が倍になってここまで高配当かと言うと、25年度から倍近く増配したんです。ストライク側もこの高配当は数年間でやめると言っています。

現在の配当性向は7割ほどと配当性向目安としている35%の倍なので、少なくともこれがずっと続くとは思わない方がいいと思います。

 

続いてCVP分析なんですが、まずそれってなんぞやと思う方が大半だと思いますので、説明します。CVP分析とは簿記2級の一つの論点経営判断に必要な数値を求めるためのものです。これで学んだことを企業分析にも生かそうと思ったので、今回取り入れます。計算過程は誰も興味がないと思うので、当座比率を紹介するやり方でこちらもお伝えします。

損益分岐点売上高これだけ売上を出せばトントンだよ)という指標は約95.2億円です。つまり、95.2億円売上さえすれば次の1円から黒字になっていくということです。

これだけわかっても「で、結局今の売上よりどのくらい落ちればトントンなの?」と思う方がいると思いますので、それがわかる「安全余裕率」と言う指標を計算してみました。それは約51.3%でした。要は「5割売上が落ちてもまだギリギリ黒字だよ」ということです。かなり余裕がありますよね。

こうなった理由は、固定費に対しての売上が大きすぎたり、原価のブレが少ない業種だからじゃないかと考察できます。

 

・財務諸表のポイント

1.営業利益率30%以上…35%程度達成

2.自己資本比率80%以上…85%付近で達成

3.有利子負債0…0で達成

4.ROE15%以上…30%程度で余裕の達成

5.ROA10%以上…26%程度で余裕の達成

6.営業CFが黒字…40億円付近で黒字

7.業績が右肩上がり…数年下がりはあるが、中長期で見れば右肩上がり

8.現金同等物が営業CFの2~3倍…3倍程度で達成

 

まとめ

株式会社ストライクは国家課題の中小企業後継者問題を解決する手段の一つであるM&Aで中堅・上位の地位を確立しており、顧客のニーズをばっちりとらえています。具体的には、公認会計士や金融機関出身者が業務を担当することで高品質と高い信頼性を売りとしている点。他にも経営者の事業承継費用で倒れるという懸念を取り除くために契約までは無料としていて、M&A以外の必要なコンサルも行う事で抱え込み戦略で、質のいい顧客を集めています。ただ、同業他社より利益率が低かったり24年に減益がある成長投資が足りないなど成長鈍化の点が見えてきましたが、長期的に見たら更に需要は増えるから、成長しないことはないですが、同業他社よりは成長力に欠けるのかな、とも感じました。

今回の細かい分析を通して、私が基準としているものの弱点も認識できた非常に有意義なものとなりました

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会社四季報 2026年2集 春号 2026年 4月号 [雑誌]

いつも愛読させて頂いておりますので、ご紹介させてください。
私は、会社四季報で財務諸表のポイントをかなり満たしている
企業に目星をつけて、分析を行っています。
気軽にパラパラとめくるだけで、1社は候補が見つかります

そのうえで、正しく投資をすればもとはとれます(私自身、会社四季報を参考にさせて頂いて、個別株で約15%で運用させていただいておりますので)

株式会社ストライク① ~公認会計士×M&Aがもたらす差別化戦略~

この企業が提供しているサービスは、この世に「質の高いM&Aの需要」が発生し続ける限り、それに応えるために必要とされるものです。

この記事では、短期的な株価変動や短期的な投資指標そのものを重点とするのではなく、なぜこの企業やその製品が長期的に選ばれ続けているのか
そしてその需要をどのように維持・拡大しているのか

その上でどんな課題点あるのか、を中心に整理します。

なお、財務指標や業界平均との比較については、
その事業の強さや持続性を確認するための補足材料として用います。

※これは特定の投資商品購入を推奨するものではありません。ご購入等に関するご判断等は自己責任でお願いを致します。

 

・基本情報(事業内容等)

株式会社ストライクは中小企業のM&A仲介業界の中堅・大手のポジションにいる企業です。昨年のM&A国内総成約件数は約5000件なんですが、ストライクの年間成約件数は約500件となっていて、単純計算で国内シェアが10%。設立は1997年で、M&A仲介企業設立の第2波に創業しましたので、蓄積したノウハウはトップクラスです。

公認会計士の高度な知識を活かして

人材は公認会計士や金融機関出身者を中心に構成しています。一見、「M&Aの仲介に関しては会計があまり関係ないんじゃないか」と思う方もいらっしゃると思います。私もなんでだろうと思って、M&Aについて調べましたら、それには高度な財務・税務知識が必要なんですが、公認会計士が直接担当することで、高品質のサービスを提供できます。

ここからは、考察なんですが、それを求める客が多かったり、公認会計士が見るというフィルターがかかっているので「この企業は厳しいな。お、この企業は!」という形になります。そこで、専門性と質の高いものを重視する顧客が残りやすい集まりやすい構造となっているので、差別化が出来ているんです。

顧客のニーズをとらえて

また、日本M&Aセンターなどの超大手は着手金があることが多いんです。ですがストライクは着手金は請求せず基本合意(事業売却の骨太が確定したところ)まで無料で、報酬が基本合意後と最後の成果報酬の二つという制度を採用してるんです。経営者は費用倒れリスクを懸念している方が55%程度と非常に多いんですが、そんな事業者を引き込むことができるんです。

ストライクの抱え込み戦略

ストライクは、コンサルティング企業価値評価M&Aに関する情報メディアを展開していて、顧客の「今すぐってわけじゃないけど、いつかしないとな…」のような幅広い需要に対応できるサービスを構築しています。

ここまでは普通なんですが、ストライクはもう一つの仲介収益流入基盤を構築しようとしているんじゃないかと推測できます。

例えば、コンサルティングをしてもらって「あの時ストライクさんにお世話になったな。M&Aもやってるんだ。じゃあお願いしようかな…」という意味の抱え込み戦略を展開しているんです。

・選定理由

営業利益率&業績の伸びと今後の需要

M&A仲介系企業の平均営業利益率40%に対し、ストライクは35%少し下回っています。業績4指標は四季報に乗っているものは右肩上がりで、それ以前は稀に下落がありますが、中長期で右肩上がりとなっています。

需要に関してですが

出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」

要は高齢の経営者も多く後継ぎも少ないから早急な対策が必要で、需要も伸びるだろうという見方です。この資料は出典の通りで、19年の資料で古いんですが、政府も国策と位置付けて計画を推進していることがわかります。

日本の事業売却の手段のうち、25%程度しかM&Aが占めていないんです。しかし米国は事業売却のM&A比率が90%です。単純計算ですが、日本には4倍弱まで拡大する余地がまだまだあるんじゃないかと思います。

 

■前半終了

ここで、①は終わりです。次回は②を執筆しようと思います。いつもの更新方法と違うので、少し理由をお伝えします。

第一に、記事を見返してみたら長いんですね。これで飽きてくる読者の方もいらっしゃると思いますので、2記事に分けて記事の内容を理解していただいて、小休憩も挟めるような形にしようと考えたからです。

第二に、これから中学入学ということでブログ編集時間が限られてくる点です。時間が足りるか、微妙になってきますので前後半で分けた方が勉学にも支障をきたさないと考えたからです。

この方針に対して何かご意見等ございましたら、遠慮なくコメント欄にてご教示頂けたらと思います。

【定点観測】経済指標から日本経済の流れを読み解く 2026年3月

今回は自分で一次情報に触って、今の日本経済はどんな感じなのか、これを読み解くためにこれから毎月末付近に「月例経済報告・景気動向指数・実質賃金指数・消費者物価指数・失業率・有効求人倍率」をまとめて、我々の生活にどんな影響があるのか、慣れてきたら少しずつではありますが、企業分析&投資ブログとして、企業業績や投資妙味はなにか、これらを分析していきたいと思います。

 

月例経済報告 ~日本政府の公式見解~

日本政府の見解として、今の我が国の景気として

と、先月の「景気は、米国の通商政策による影響が残るものの、緩やかに回復してる」というものから維持されずに変更されました。

政府としては、「トランプ関税の影響は少なくなったから言わないけど、中東情勢で石油が入ってくるか不透明になってきたから、回復の兆しがちょっと暗くなったかな?」というスタンスなんじゃないかと思います。

WTI先物

この中東情勢を少しでも理解するために必要なのがWTIの先物というものです。

出典:WTI原油 みんかぶ(先物)

イラン情勢緊迫化前より大幅に上がっています。これが一月後の先物価格を示すものです。執筆時で言えば5月先物です。

 

出典:軽質スイート原油(WTI)先物 市況 - CME Group

一方でこれは12月、27年1月、2月、3月の先物なんですが、1バレル70ドル前半になっています。イラン情勢緊迫化前は60ドル後半だったので、まぁ遅くとも、年末にかけて戦闘終結に向かうんじゃないかなと思います。トランプ大統領によると、一方的な勝利宣言をしてもいいと言っていますし、交渉する相手が少なくなってきているので、もっと早く終わるかもしれません。

 

景気動向指数 ~様々な情報の組み合わせ~

上のざっくり説明に入りきらなかったので、景気動向指数について補足しますと、現在の経済の確認将来の経済予想の時に使うものです。他にも過去の経済状況を知るための遅行指数というものがありますが、これはこの記事の趣旨に反するので割愛します。

先行指数

先行指数とは、将来の経済予想に使うものです。これまでは少しずつ下がっていましたが、25年の序盤ごろから少しずつ上向いて、今回公表されたものは傾き方が違います。先行指数は「これから景気は良くなるよ」と示しています。

今回公表されたものは26年1月のデータですが、景気が回復しそうな兆しがこちらからはかなり明るいです。

一致指数

かなりの急勾配で上昇です。今後の景気拡大も期待できますし、現在進行形でも景気が拡大している証拠なので、明るいニュースですね。まぁ、中東情勢に市場が関心を持ってしまっているので、過度な円安、急激な金利上昇の影響でペースは遅いかもしれません。

消費者物価指数

NHKが発表しているものが見つからなかったので、文字だけの総務省の資料になってしまいましたが、物価を見ていきましょう。よく使われる指標は真ん中の「生鮮食品を除く総合指数」なんですが、1.6%の上昇と日本銀行の2%インフレ目標を下回りました。ですから、このまま利上げを続けたり緊縮財政に戻ると、日本のデフレ脱却は難しくなりかねない、ということです。失われた30年が40年になってしまうかもしれません。

因みにですが、アメリカでよく使われる指標は一番下の「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」です。こちらは適度なインフレとなっています。

 

実質賃金指数

なんだか堅苦しい表ですけど、見てほしいのは右下の1.4%、これが1月の実質賃金です。

先月の定点観測記事を見ていただいた方は、12月の数値も違うし表自体変わっていると、違和感を覚える方もいらっしゃると思います。前回使用していたものは、国際比較用のもので、算出方法が違うらしいんです。今後はこちらの指標を使います。

1月の実質賃金は1.4%と13か月ぶりのプラスです。

これまでは給料が1円増えたけど、飲み物は2円値上がりして、実質的に生活はよくなっていませんでしたが、今は給料が2円増えて、飲み物が1円値上がりして、購買力が上がった、という格好です。ここにも景気回復の兆しがありますね。

完全失業率・有効求人倍率

完全失業率は前月から0.1%改善有効求人倍率は0.02%悪化しました。まぁ、さほど変わってないですね。

ざっくり、1000人中26人が失業者で求人数は1人あたり1.18件の売り手市場なので、雇用環境は比較的良好なんじゃないかと思います。実質賃金からもわかるとおり、給与も雇用も改善してきたので、これからどれだけ伸びるかが焦点ですね。景気動向指数も景気拡大を示しているので、かなり期待が持てそうです。

 

まとめ

まだ定点観測2回目ですが、景気拡大の兆しがはっきりしてきたと実感しました。中東情勢次第ですが、先ほど商船三井の船がホルムズ海峡を通過したとのことで、国家備蓄と民間備蓄もまだまだ残っているので、多少の減速はあると思いますがオイルショック、という事にはならないでしょう。

・出典

各官庁

フォトライブラリー

他各自明記

トヨタ自動車と本田技研工業① ~ビジネスは「どこで勝つか」で決まる~

この業界が提供している製品・サービスは、この世に「ヒトやモノの移動」が存在し続ける限り、その達成のために必要とされるものです。

一方で、同じ需要を対象としている企業であっても、
その取り込み方や利益の上げ方には大きな違いがあります。

本記事では、トヨタ自動車株式会社本田技研工業株式会社を比較しながら、
短期的な株価変動や投資指標そのものを重視するのではなく、

なぜ同じ業界に属しながらも異なる戦略が採用されているのか
それぞれがどのような構造で需要を取り込み、長期的に選ばれ続けているのかを整理します。

その上で、こうした違いが競争優位性や財務にどのように表れているのか、
また今後どのような課題やリスクにつながるのかについても考察します。

なお、財務指標や業界平均との比較については、
その事業の強さや持続性を確認するための補足材料として用います。

 

・両社の基本情報

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、世界最大級の自動車メーカーで、乗用車から商用車、高級車まで幅広いラインナップを展開しています。

主力は自動車販売事業ですが、それに加えて金融事業(自動車ローン・リース)も手掛けており、販売と金融を組み合わせた事業形態を構築しています。

またハイブリッド車で先行した実績を持ち、現在はEVや水素なども含めた全方位戦略を取っている点が特徴です。

全世界に生産・販売網を持ち、地域ごとの需要に対応しながら、大規模な生産体制によって効率化を実現しています。

本田技研工業

本田技研工業は、自動車に加えて二輪車や発電機、農機なども展開するメーカーです。四輪事業が売上の中心ではありますが、二輪車では世界トップのシェアを持っており、新興国を含めた幅広い市場で事業を展開しています。

また、エンジン技術を強みとして成長してきた企業であり、近年はEVやソフトウェア領域への投資も進めています。

地域的には北米市場の比率が高く、特定市場でのブランド力や販売力が収益に大きく影響する構造となっています。

 

・需要の共通点

トヨタやホンダは自動車の販売に支えられているのも当然ですが、もっと根っこの方を見ると「ヒトやモノの移動」に支えられています。

例えばコロナ時の19年から20年までの鉱工業生産指数という日本の生産数の増減を示す指標は8.5%の下落で、戦後最大規模の下がり幅だったらしいんです。同じ時期の自動車生産の増減は16.6%の下落と言われています。一方で食料品生産は1%程度の下落と生活必需需要が支えています。

従って、新車購入は必需ではないですし、このヒトやモノの移動激減で生産量が大きく下がりましたので浪費に加えて、ヒトやモノの移動に支えられている事が分かります。

それでも、こんな異常事態や大不況が来ない限りその需要はなくなりませんよね。通勤や物流、生活圏の拡張などで密接にかかわっておりますので、この需要そのものがなくなることは考えにくい分野です。

その中で、トヨタ自動車本田技研工業は、同じ自動車メーカーでありながら、少し違う戦い方をしているように見えます。

 

・ビジネスモデルの違い

まずトヨタ自動車ですが、軽自動車から高級車まで幅広く扱っていて、世界中で販売しています。

とにかく「数を売る」ことができる体制が整っていて、その分、大量生産によるコストの低さや効率の良さが強みになっています。

これは通期自動車販売台数なんですが、倍以上の差をつけて、トヨタの生産量が多いです。これからホンダのビジネスモデルで詳細に説明しますが、四輪は北米の需要が高いはずなのにうまく世界各国に分散しているのも特徴です。とは言いつつも、北米に31%ほど依存していますが、ホンダほどではありません。

ざっくり言うと、広く売って効率よく稼ぐ会社というイメージです。

その証拠にもう一つ、営業利益率が8%程度で薄利多売ということがよくわかります。

 

一方で本田技研工業は、車だけでなくバイクや発電機などもやっていて、特にバイクは世界的にかなり強いです。

少し古いデータですが、今でも構図としては似たような形です。25年度のバイクシェア率は4割程度で、30年代までに世界5割のシェアを目指しています。もし仮に実現すれば、収益基盤がさらに強固なものとなり、技術一本足打法から抜け出せる可能性が見えてきます。

また、北米での販売が強く地域的にある程度集中しているのも特徴です。直近の決算説明資料によると、二輪事業はアジア圏で約78%の販売台数割合を占めており、四輪事業は北米で約55%の販売台数割合を占めています。

なぜここまで依存するのか、アジア圏の中でも東南アジアや南アジア諸国に需要があると言われています。なぜ需要があるのかと言うと交通事情や所得層が自動車ではなく、バイクが向いています。だから二輪は生活の足とも言われていて、需要が大きいのに加えて、1960年代から現地生産を開始していて地域に溶け込んでいるんです。

北米依存に関しては需要と現地生産という似たような理由があります。それに加えて、信頼性ランキングというものが存在するらしいんですが、HONDAは常に上位にいるらしく、北米人から「HONDA車=壊れない」というブランド力もあるんです。

技術面にもかなり力を入れている会社で、エンジンなどの開発力を武器にしてきた企業です。

global.honda

最近では小型で効率的な高い技術の製品を開発したらしく、現在進行形で進んでいます。

こちらは、強い分野でしっかり勝つ会社という印象です。

 

両社とも共通しているのは四輪での北米依存です。

その証拠にいわゆるトランプ関税での主要自動車メーカーの減益額予想だったんですが、どの企業も多額の損失を被って、会社によってはこれで黒字のはずが赤字決算に転落したというところもあります。我が国の基幹産業のだけあって多角化というのは非常に重要なんですね。

説明にはホンダの方に文字を割きましたが、トヨタはそれほど説明せずとも強い理由を簡単に説明できる、つまり比較的わかりやすい事業形態なんです。投資の神様を言われているウォーレンバフェット氏も投資の原則に「自分が理解できるビジネスが良い」と説いています。

 

■②以降の記事について

次回以降は両社の製品がなぜ選ばれ続けるのか財務の違い成長戦略の違い両社のリスクについてお話しできたらと思います。

※と思いましたら、②の型データが消えてしまいましたので投稿は難しいと思います。以後、データ管理を徹底して参ります。2026年4月11日

出典

www.bing.com

www.honda.co.jp

毎日新聞デジタル | 毎日新聞のニュースサイト

https://tattooidee.com

株式会社MARUWA ~人類文明を支える“見えない主役”セラミックの実力~

この企業が提供している製品は、この世に「人類文明」が発展し続ける限り、その効率化のために必要とされるものです。

この記事では、短期的な株価変動や短期的な投資指標そのものを重点とするのではなく、なぜこの企業やその製品が長期的に選ばれ続けているのか
そしてその需要をどのように維持しているのか、

その上でどんな課題点があるのか、を中心に整理します。

なお、財務指標や業界平均との比較については、
その事業の強さや持続性を確認するための補足材料として用います。

※これは特定の投資商品購入を推奨するものではありません。ご購入の判断は自己責任でお願いします。

 

・基本情報(事業内容等)

株式会社MARUWAはセラミックという、「熱や摩耗に強い特別な石みたいな素材」の大手で、セラミックには建設・医療・自動車・スマホなど現代に必要不可欠な製品の部品として使われていますが、MARUWAはその中でも通信分野や省エネ分野、半導体分野に強みを持っています。

次世代高速通信向けセラミック

高速・大容量通信で信号が弱くなる課題を解決し、安定した通信を支える部材です。環境変化に強く通信機器の小型化や高性能化にも貢献します。精密な加工が求められるため開発の難易度が高く、参入障壁も高い分野です。

省エネセラミック

機器内部にたまる熱を外に逃がし電力消費の削減に貢献する部材です。高温環境でも性能が落ちにくい点が特徴で、MARUWAの強みとなっています。開発の難易度が高く、参入障壁は非常に高い分野です。

高純度SiC製品

半導体製造装置に不可欠な部品です。高い純度と耐熱性を両立する製造が難しく、すでに供給実績もあるため、新規参入が難しい分野となっています。

 

これらの製品はこの記事を読み終わるまで頭の片隅に入れておいてください。

・選定理由

営業利益率&業績の伸びと今後の需要

工業用セラミック系企業の平均営業利益率15~20%に対し、MARUWAは37.5%と倍近い水準です。業績4指標は四季報に乗っているものは右肩上がりで、それ以前は稀に下落がありますが、中長期で右肩上がりとなっています。。

ここからは需要についてです。先ほど、長々とMARUWAの製品を説明していて、何なんだと思った方もいるかもしれません。

これは高市政権下で発足した日本成長戦略会議の成長戦略17分野の表ですが、その中の⑬マテリアルの分野に注目してください。マテリアルの中にはセラミックも含まれていて成長戦略にマッチします。①⑨⑯にも注目してほしいんですが、半導体はSiC製品エネルギー安保は省エネセラミックで消費量そのものを削減情報通信は次世代高速通信向けセラミック見事に4つの分野で共通しているんです。

政権がどんな補正予算案、来来年度予算案を組むかによりますが衆院選で自維連立政権が大勝したので、これらの分野への成長投資は増えていくと思うので国策にも乗れるんじゃないかと思います。

まだまだ今後の需要はかけますが、これ以上個別で書くと「くどい!」と思われそうですので、興味のある方は私のWordで書いた↓のメモをご参照下さい。

 

財政健全性&株主還元政策

自己資本比率は同業他社平均が70%付近と業界全体で見ても高いですが、MARUWAは90%前後と大幅に上回っており、有利子負債も0で無借金経営をしています。

当座比率という短期支払能力を表す指標約764%で、目安の100%を大きく上回っており、固定比率という長期的な財務安定性を表す指標約36.9%と、優良基準の100%以下を達成しています。理由としては現金同等物が非常に多く無借金経営をしていて設備もありますが、それ以上に利益の積み上げが非常に巨額だから、この数値が出たのかなと思います。

株主還元政策は、「安定的な配当継続」としており、配当性向という利益のうちどれだけ配当に回すか、という指標は約6%程度と非常に低いですが、配当金の推移は分かる範囲で16年から連続増配をしていますので、経営陣も財政状態は問題ないと判断していると思います。

 

・財務諸表のポイント

1.営業利益率30%以上…40%弱達成

2.自己資本比率80%以上…90%付近で達成

3.有利子負債0…0で達成

4.ROE15%以上…16%程度で下回るが許容範囲内

5.ROA10%以上…14%程度で達成

6.営業CFが黒字…250億円付近で黒字

7.業績が右肩上がり…数年下がりはあるが、中長期で見れば右肩上がり

8.現金同等物が営業CFの2~3倍…3倍程度

 

・長期成長ビジョンのポイント ~成長戦略3本柱~

1.最先端セラミック技術の強化と提供継続

・素材技術や加工技術を進化させ、長期にわたり最先端セラミック関連製品を提供していく。

・脱炭素社会に寄与する製品を柱として、持続可能な社会課題の解決に貢献する。

2.脱炭素社会・社会課題解決へ貢献する事業への注力

・半導体、AI、EVなど成長性の高い産業分野を対象に、社会需要増加に応じた製品・事業展開を進める。

・サステナビリティを経営重要要素として事業成長と結びつける。

3.売上成長目標の設定と設備投資計画

・短期(2024–2025年):売上高 700億円 目標。

・中期(2026年以降):売上高 1,000億円 目標。

・売上成長に合わせ、生産設備への投資を積極化する。

 

まとめ

株式会社MARUWAは次世代の今後爆発的に需要が増える高成長産業半導体セラミック省エネセラミック次世代通信セラミックをはじめとしたもので世界首位のシェアなので必要不可欠な製品を製造しており、高市政権の進める日本成長戦略会議で策定した17分野のうち、AI,半導体情報通信エネルギー安保マテリアルにリンクしているため、国策ともとらえることができます。業績も同業他社に比べて、大きく利益率が高く伸びも堅調に推移しており、財政状態も自己資本比率と有利子負債を見るとすこぶる良好で、株主還元政策も野放図にやるのではなく、堅実に増配傾向のため、経営陣の手腕が垣間見えて、信頼感があります。財務諸表も余裕があり、キャッシュが厚いため、今後の事業拡大にも期待できます。ただ株価が5万円前後のためリスク分散はしにくいため、株式分割があれば十分投資対象に値すると考えました。

【企画】ニデック株式会社② ~粉飾決算の兆候は決算書に現れていたのか~

前回の企画の続きですが、今回は最近話題のニデック株式会社、言わずと知れたモーター世界大手の企業です。ここが粉飾決算で今、大きな批判を浴びていますが、ニュースで見た報告書だと「創業者(永守氏)の意向を重視し…」と何かふんわりしていましたし、結局なにで粉飾をしたのか、わからないことが多かったので、兆候が分かればすべて腑に落ちるんじゃないかと思い、この記事を書くにあたりました。

前回の記事↓

vuv-kigyobunseki.hatenadiary.jp

このブログは「企業分析」ですので、決算書を読み解いて不自然な点を探っていこうと思います。ただ不正会計分野は初めてですので、ClaudeというAIと共同で作りました。

※このブログ記事草案をまとめたのがニデックの第三者委員会中間報告前でしたので、少し情報が古いかもしれませんが、基本的に大きな変わりはないと思います。

4. 兆候③——資産評価減の意図的な「先送り」(調査の核心)

この第三者委員会調査の本丸が「資産の価値が下がったのにも関わらず、それに必要な会計処理を行わなかった」というものです。会計用語だと「減損の先送り」と言われるらしく、簡単に言うと

蛍光灯を製造する機械があるが、そろそろ製造等禁止になるので、当社でもその役目を終えて廃棄した

この仕訳は簡単に言うと

こんな感じで、損失が計上されるんですがその損を計上したくがないためにこの処理をしなかった、ということです。

具体的にはEVモーターの収益性が実態として悪化していたにもかかわらず、固定資産や無形資産の減損をタイミングよく回避して、利益を実態より良く見せていたとのこと。因みに、この処理をしなかったことで600億~700億円の利益を水増ししていたんです。普通はこの処理をすることで利益が減る、そうすると法人税の支払額が減るので拒む理由は少ないですけどね。それだけ利益を大きく見せて、株価を上げたかったんでしょう。

 

5. 兆候④——車載グループの急激な損益悪化

ニデックにはいろいろな部門があるんですけど、その中でも自動車系の部門の損益推移が激しく、どれだけ不正を続けてきたかが良くわかるんです。

AIが作成した資料に間違いがあったので、修正しましたのでその跡がありますが気にせずお願いします。

過去最高益の直後に急転直下の大赤字、備考欄にもありますが粉飾で出来た負の遺産の処理に877億円、この処理を差し引いたら約50億円の黒字です。つまり単純に考えると通常運転の経営をしていれば、黒字経営で、中大規模な上場企業くらいの世界シェア首位の良いポジションに座っていたはず。それが短期的な欲望で一気に崩れるとは、非常に持った得ないと思います。永守さんは優秀な経営者のはずなんですがね…

 

6. 兆候⑤——ガバナンスが機能していなかった証拠

不正会計の「兆候」として一番警戒すべきものは、ガバナンス上の構造的な問題らしいです。実は財務数値の異常よりも前に、組織の意思決定プロセス外部チェック機能問題が生じていることが多いんです。一見すると意外に思えるかもしれませんが、よくよく考えれば経営陣が不正を指示したり、経営陣が無理な業績目標を打ち出すことがきっかけですしね。

①監査法人との関係

監査法人とは上場企業が不正していないか監視する法人で、公認会計士が多数所属しているんですが、そのプロフェッショナル集団がニデックの業績を報告する有価証券報告書に「意見不表明」という監査報告書を添付したんです。意見不表明というのは、監査法人が「あ、この企業やばいね。信用できません。」と言っていると同じ意味です。これは上場企業としてはかなり珍しいものです。

②問題の連鎖的拡大

実は、最初はイタリア子会社の関税未納問題から始まったんです。その後、中国、スイス、そしてグループ全体の大問題へと芋ずる式に拡大していたんです。問題が調査するたびに増えるのは、永守氏の過度な業績達成圧力が全世界に波及していることを示しているんじゃないかと考えます。

因みに東証もこの点を特別注意銘柄の指定理由として挙げています。

おわりに

この記事で説明したように、不正会計の多くは突然、起きるわけではないことが良く理解できました。営業利益率の不自然な乱高下利益とキャッシュフローの長年の乖離、こんな感じの粉飾の負の遺産は、企業HPに載っている決算短信からでもよくわかります(例えば建設業は業態的に乖離してしまう場合もありますが)。まぁ、この記事の場合は発覚してから調べた後付けですけどね。

しかし、約2500億円もの粉飾ですよ。検索エンジンで過去の最大額の粉飾事件を調べましたら、東芝の1400億円です。これは歴史に残ってもおかしくはないと感じます。

出典

決算短信・決算説明資料 | ニデック株式会社
26年1月号 【会社四季報】【雑誌】